こんにちは。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナル・コーチの長井です。
9月になりました。虫の音が耳に心地よく鳴り響いています。いろんな虫の協奏曲に耳を澄ませて静かに夜を過ごすのもいいものだなあと、らしくない風流なことを思ったりもしています。あなたはいかがお過ごしですか。
これでは良くないと思うのだが、なかなかどうしていいかわからなくて。
こんな時、コーチングを通じて自分の本当の心の声を聞くというのは有効です。私もついつい、そういう人の力になってあげたいと力が入りがちです。問いやフィードバックなどの会話を通じて、今まで見えていなかったことに気づいてもらい、自ら選択しその先の変化につなげてもらえればと思ってしまいがちです。
先日、2つの選択肢の間を行きつ戻りつされている方のお話を聞きました。あなたはホントのところどうしたいのか、どちらかに決めるためにはどんな材料が必要なのだろうか、このまま決めずにいたらどんな未来が訪れるのだろうか。いろんな話をしましたが、どうも話が深まりません。なんだかぐるぐる回っているような感じもします。
そのうちに、私は、この方はまだどちらかを選択する段階に至っていないのでは、と思うようになりました。いわばまだ機が熟しきっていないというか。冒頭の文章の続きで言えば、「これでは良くない」と思っていないわけではないのですが、「良くないのだろうなあ・・・」止まりの感じでしょうか。
私は感じたままをお伝えすることにしました。
それまで「決めなければいけないのに決められないのは良くないことだ」とばかりに難しい顔をされていたこの方の表情が、この言葉を聞いた瞬間、ふっと氷解したような感じになりました。
私に見えたその表情の変化もそのままお伝えしさらに会話を続けていくと、「決められない、迷っている」という状態をそのまま受け止めること、さらにはそれをそのまま表現していくことが現在採るべき選択肢だという話になりました。私たちはお互いに「今の自分の状態をそのままオープンにしていくこと」の重要性に気がついて、このセッションを終了しました。そして、この方は、「今の自分では決められない」ということをオープンにした結果、自分一人ではなくみんなで決めるという方向に軸足を向けていかれました。
ビジネスの現場では、今、決めなければいけないということがあります。なかなか上記のようなことばかりでは現実問題を乗り切れないと思います。しかし、私には、苦しんでいたこの方の表情が緩んで心からの笑顔になられたことがとても印象的でした。何かを選ぶ、決断をするというのはとても重要ですが、無理やりもしくはイヤイヤ選んでもその先いい未来は待っていないのではないでしょうか。できれば、本来の自分に立ち返って、笑顔で選択をする。そんなことがとても大切です。それは、今の本当の自分の状態をしっかり受け止めて、それにオープンな姿勢で望むことが出発点なのではないかと、あらためて思わされました。そしてそれはまた、コーチとしての私もまさしく同じで、相手のために良かれ、と肩に力が入りすぎるのは慎まなければと、あらためて学ばされたセッションでした。
いま、あなたはオープンですか?
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ここいち便りは教科書ではありません。みなさんが何かを考えたり取り組んだり話し合ったりするきっかけやヒントになればと思っております。リクエスト・異論・ご意見などなど大歓迎ですので、お気軽にお寄せいただければ誠に幸甚です。