こんにちは。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナル・コーチの長井です。
アツい!
といくら言ってもアツさがマシになるわけではないのですが、つい口にしてしまいます。。。
もうあと1週間頑張ったら夏休み♬ という方も多いのではないでしょうか。
さて、コーチングでは「相手の可能性を信じ切る」ということが基本にあります。私が学んだコーアクティブ・コーチングでは「People are naturally creative,resourceful and whole」(人はもともと想像力と才知に溢れ、欠けるところのない存在である)という考え方に立脚しています。これは私のとっても好きな言葉であると同時に、「そうは言っても現実的にはなあ」という気持ちもどこかにあったのですが、先日、あらためてこの言葉を想起させる事例があったので、少しご紹介したいと思います。
その人はMさん。営業マンです。フットワークが軽く人当たりもOK。敵を作らない性分と言っていいでしょう。が、商談に際しては戦略的にとかストーリーを練ってということは得意ではない。「とにかく行ってみる」に終始するタイプでした。企画や管理業務も苦手で、極力そういう業務を避けたり後輩に丸投げしているように見えました。
長年そういうスタイルでやっていると、社内ではそうした見方・評価が固定化します。本人もその方が楽だと思っているフシも垣間見え、もはや彼が変わる可能性はないだろうという見方で衆目が一致していました。やがて彼は関係会社に出向します。同社には従来から彼と一緒に仕事をしたメンバーも多く、上記のような見方・評価は同社の中でも伝搬していました。結局、職場が変わるというのはチャンスでもあるにもかかわらず、彼の日常はこれまでの延長線上でした。
しかし、そんなMさんにもう一度転機が訪れます。同社でもイマイチフィットしなかった彼は、種々のご縁があって、全然別の関係会社に異動となりました。この前後で私は彼と少し会話をする機会もあったのですが、前職でうまくいかなかったことはいくぶん堪えており、今度こそ頑張りたい、というようなことを言っていました。
それから数年後。この新しい職場で彼は客先からも評判が良く、社内の他部門にも評価され、結果自部門でも高評価を獲得している、という話を聞きました。
どうやら彼は変わったようです。思えば、彼はこれまで人から評価をされる・頼りにされるということはありませんでした。周りも「彼はそんなもんだ」と思い、そういう扱いをしてきていました。本人もそれに異論がないのだろうと勝手に思っていました。それが、この新天地では初めて人に認められたのです。今までとは、周りの彼への見方も取り扱い方も変わったのです。それが彼を変えたのだと私は確信しました。
もちろん、まず最初に彼が自分の力で頑張ったことが出発点でしょう。私に語った「今度こそ」という思いを彼は彼なりに形にしたのだと思います。が、それを不可逆なものにしたのは周りの力です。認められ頼られる喜びが彼を変えたのです。逆に言うと、前職で共にいた私たちの関わり方はどうだったのかということでもあります。彼を存分に活躍させなかったのは実は私たちではなかったのか、という強烈な反省です。彼の中にも大いなる可能性があったのに、それを見ようとしていなかったのではないか、という厳しい問いを喉元に突きつけられた思いです。
人は変われるのか。
人生を長い間生きてきて、いろんな事例と現実を見てきた私たちは、この問いについ否定的になりがちです。
しかし、変わる可能性は一人一人の中に眠っている。そんなことをMさんはあらためて教えてくれました。変われないのは本人だけの問題なのか、変わらせなかったこちらの問題はないのか。
ぜひそんなことをみなさんとシェアしたいと思いました。
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ここいち便りは教科書ではありません。みなさんが何かを考えたり取り組んだり話し合ったりするきっかけやヒントになればと思っております。リクエスト・異論・ご意見などなど大歓迎ですので、お気軽にお寄せいただければ誠に幸甚です。