こんにちは。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナル・コーチの長井です。
紫陽花のシーズンになりました。しとしと降る雨に紫陽花は似つかわしいなあと思っていたら、いきなり真夏日に突入。。。熱中症にお気をつけてお過ごしください。
さて前号では、私の書籍出版の話を書きました。書くネタ・テーマも大体既に頭の中にあるということも書きました。それでも、あらためてそれらのネタを関連付けて、全体を通じて一冊の本にしようと思うと、あらためて思いが深まったり、自分の普段の行動が省みられたりしています。
この本で私が一番お伝えしたいことのひとつは「コーチングをする」ということに囚われすぎずに、コーチングの考え方を活かした「コーチングっぽい(笑)会話をする」ことが、日常・現場で役立つアプローチではないかということです。
たとえば、コーチングの土台となる傾聴です。傾聴は「自分の考えを脇において、相手の話をよく聞く。相手のそのままを受け止める」と言われています。これは全くその通りで、だからこそ傾聴は相手に大きなインパクトを与えます。
と同時に、この実行は容易ではありません。相手の話を聞いていれば、それに対する自分の意見や考えが頭の中に浮かんでくるのはいわば自然なのです。私も特にコーチングを学び始めた頃はこの最初のハードルで随分苦労しましたし、学んで4年経った今でも、時にこれができていない自分に気が付き、自分の姿勢を立て直しにかかることがあります。
そこでしばしば聞かれることが「コーチは自分のしゃべりたいことを我慢しなくちゃいけないんですよね」という問いです。
この問いに私は「半分YESで半分NO」と答えています。
コーチは自分自身の価値観や考えは脇におき、相手に焦点を当てて話を聞きます。そういう意味ではYESです。
この時大事なのはコーチの聞く姿勢です。
「聞かなければいけない」と思って聞いているとそれは「我慢」になります。
「聞きたい」と思って聞ければ「我慢」にはなりません。「その話、おもしろいねえ」「そこ、興味あるんだけどもう少し聞かせて?」というマインドがあれば、我慢は生じず、上記の問いへの答えは「NO」です。
我慢はいい会話、いい関係性につながりません。自分自身の中に窮屈感を生みますし、それは相手にも伝わります。その結果、二人の関係性そのものが豊かで潤いのあるものになりません。むしろ自分の中に違和感を感じた時に、その違和感を二人の間で共有すること。違和感があるということをそのまま二人で受け止め、その背景や意味するところについて二人で会話してみること。感じた違和感をなかったものにするのではなく、あるものをそのままオープンにしていくこと。これこそが一番大事なことです。
じゃあその違和感をどうやって顕在化したらいいの?自分の感じたことをどうやって相手に伝えたらいいの?それは次のステップです。方法論です。まずは「そうしたい」というあなたの選択が全てを決めていきます。
特に企業内研修の受講者には、コーチングや傾聴を狭義に解釈した結果生じる「我慢」という誤解から、「自分の職場・日常では使えない」と考えている方が少なくないようです。
職場メンバーとの会話では、仕事のことについては、お互いにある程度の共通基盤があります。相手が業務や状況について説明する時、その内容そのものはそう理解に難くないでしょう。したがいそれに対する自分の見方や考えが湧いてくるのはいわば当然です。それにフタをする・見ないようにするということ自体無理があるのです。そうではなく、それと自分が一体化してしまわずに、どう付き合うか、ということこそ、コーチングの考え方なのです。それは、捉え方とか見方、考え方といったお互いの頭の中のことについて、何がどう違うのか、なぜ違うのか、という違いを顕在化させることと言ってもいいでしょう。
以上のようなことは、巷の本やネット記事にはありません。ビジネス経験も踏まえた私ならではの「コーチングのあり方」です。興味のある方は一度お話してみませんか?
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ここいち便りは教科書ではありません。みなさんが何かを考えたり取り組んだり話し合ったりするきっかけやヒントになればと思っております。リクエスト・異論・ご意見などなど大歓迎ですので、お気軽にお寄せいただければ誠に幸甚です。