こんにちは。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナル・コーチの長井です。
九州地方ははや1週間も前に梅雨入りしたそうです。私の住む関西やあるいは東京方面も早晩梅雨入りでしょう。じめじめした季節になりますが、気持ちだけは明るくカラッといきたいものです。
さて、最近、エンゲージメントサーベイとか360°評価とか、いろんな指標を取り入れている企業が増えているようです。この数値結果、あなた自身はどんな風に評価してどんな風に扱っていますか?
私が学んだ2つのコーチングトレーニングの会社でも、アセスメントと称してさまざまな数値化を進めていました。特に最初に学んだ国内最大のスクールでは、コーチング期間中に学んだこと・取り組んだこととその成果について振り返る「エバリュエーション」を大事にしており、さらには「定量化できないものはない」というスタンスでした。これに対し、私は前者のエバリュエーションの重要性には全く同感するものの、後者の定量評価に関するスタンスについては違和感を拭えませんでした。このスクールの考え方は、「違和感があるのであれば、その違和感を明確化し、現在のエバリュエーション項目では扱えていないものを顕在化させ、それを定量評価するというプロセスを繰り返したり積み重ねたりすることで真の評価に近づける」ということだと理解しています。言わんとすることは頭では理解できるのですが、それでも私の中では、「その先にたどり着くものが本当に実体なのか」という思いが残りました。
私がサラリーマン現役の頃も「イキイキ職場調査」というサーベイが行われていました。多岐にわたるいろんな項目について1〜5(だったかな?)で点数をつけていきます。実は私はこれには1度も回答しませんでした(もう時効だと思うのですが。。。😅)。私の中では「こんなアンケートに頼らないと職場メンバーのことがわからないようではマネージャー失格。人を預かるというのはそういうことではなく、もっと日常の中の相手の顔色や態度、物の言い方をしっかり見ていくことであり、そうして掴めるものこそが紛れもない実体」という確信があったからです。
今の私はそうしたサーベイが全く無駄だと言う気はありません。それはそれで意味のある情報だと思います。大事なことは、その情報を扱う人間の捉え方であり、そこから何を読み取って自分なりにどう解釈するかということです。
アンケート結果、特に数値化されたものは、往々にして独り歩きします。いかにも客観的でオーソライズされた正解のように思いがちです。特に、現場前線から離れた上層部の方にすると、現場の実体に日々触れていないがゆえに、「どうなっているんだ」「なんでこんな結果なんだ」という御下問を部下や事務局にしたくなります。そこで質問を受けた方が、「いや、これはこうなんです」と体を張って説明できればいいですが、なかなかそれは容易ではありません。こうなると、本来組織を前進・改善させたり、問題点を明らかにするためのサーベイのはずが、どんどん趣旨から逸れていくことになりかねません。
大昔、多角形はどこまでいっても円になれないという話を聞いて、大変感銘を受けた記憶があります。円は実体とか本質、多角形の辺は数字やアンケート結果など「切り取られたもの」と考えると、極めて形而上的な比喩のような気がします。
さて、あなたはスコア化されたものとどんな風に向き合い、実体にどうやって迫っていきますか?
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ここいち便りは教科書ではありません。みなさんが何かを考えたり取り組んだり話し合ったりするきっかけやヒントになればと思っております。リクエスト・異論・ご意見などなど大歓迎ですので、お気軽にお寄せいただければ誠に幸甚です。