こんにちは。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナル・コーチの長井です。
ついに今年のカレンダーもあと一枚になりました。
この1年はあなたにとってどんな年でしたか?
私には馴染にしている飲み屋があります。
店のスタッフとは大変仲良くしていて、店の内情や人間模様など結構機微な話も出てきます。先日は、当店に入って1年ぐらいになるスタッフについて、中核に育てようとしてきたのだが、ちょっと無理かもと思い始めているという話がありました。
いわく、たとえば仕込みとか皿洗いとか飲み物のサーブだとか、一つ一つの仕事はだいぶ覚えてきたのだが、店の状況全体を見渡して、今必要な仕事を自分で見つけて着手することができないとのこと。決められた単純な業務はできるが、それらを有機的に結びつけて、総合的立体的に店を回していくことができないというわけです。
なんか会社でもありそうな話ですよね。
店の事情に明るい私としては、当店全体の人員構成とか将来構想の点から、その人に中核を担ってもらわないと困るという店側の事情もよくわかります。一方、現状のその人では任せきれないという不安もまたうなづけます。
仕込みなどの大きな仕事の合間に隠れている小さなことも全部拾い上げて、逐一教えるしかないかいう話も出ました。でも、そういうことは全部拾い上げたつもりでも、見落としや新たなことが生じたり、それらの部分部分を本人が全部つなげて全体として理解するには至らない可能性が少なくないと思います。
私は悩んでいるスタッフに「なんで自分たちはそういうことができるようになったんだと思う?」と聞いてみました。そうすると、どうやらいろんなことを経験していくうちに学んできたのだと思う、という話に行き当たりました。確かに、当店でのことだけではなく、それまでの人生体験も含めて、両者の経験値の開きは結構大きいように私にも見えます。
そこから、
私「彼女の経験値をあげるにはどうしたらいいと思う?」
店「もう少し『全体を見て自分で考える』という立場に置いてみるってこと?」
私「そうしたらどんな問題が起きると思う?」
店「確かに、不安はあるけど、万一失敗しても取り返しのつかないようなことはおきないかも。任せつつ目は離さない、ってことかな」
という会話になりました。
不安で任せられない。から、不安の正体を点検して「任せる」を試すことを考えてみる。
これまでベテランスタッフの補助しかさせてこなかったから、そこにとどまっているのではないか。自分が中心になる、責任を負うということを試してみないかという方向です。大事なことは、「任せる」を試してみるのと「任せきる」は異なるということでしょう。
問題があれば従来スタイルに戻ることも含めてまた考えればいいのです。試さなければ何も始まりません。試すことでわかることは間違いなくあります。
過去と現在の実績だけで運用していくのは安全です。が、未来への発展を求めるという観点ではどうなのか。もちろん、一つ間違えば大惨事になるようなことは任せられませんし、リスクをよく考える必要はあります。
何かを変えてみると何かが動き始めます。試す勇気が人とチームを変えていくとも言えそうです。そういうチャレンジ、いかがでしょうか。
ここいち便りは教科書ではありません。みなさんがいろんなことを考えたり取り組んだり話し合ったりするヒントになればと思っております。リクエスト・異論・ご意見などなど大歓迎ですので、お気軽にお寄せいただければ誠に幸甚です。